世の中にはデザイナーが溢れている。
それは技術の進歩によるものである。
前回までは福岡市での私の仕事の原点をお伝えしました。
今回は、大きな転機となった地域との出会いについて少し紹介していきます。
デザイナーという職業から少しはみ出した。
一時期、デザインで社会が変わるとおもっていました。
なんとか広告賞だとかいろいろな賞が世間にはあります。そういった賞を取ること、雑誌に掲載されること。そんなことがスキルの証明だと思われています。
しかし、今では私はそういった賞にまったく興味がありません。
制作物は、私の作品ではないし、その制作物をつくる対価を頂くのがデザインの仕事です。
そこに、デザイナーが評価されるべきなのはどれだけクライアントにメリットがあったのかだと考えています。
コストパフォーマンスデザイン賞なら少しは興味がわくかもしれません。
なので、クライアントワークによる広告賞には興味がないのです。
デザイナー、クリエイターとしてできることはもっとあるはず!
この想いから、私は過疎地域をクリエイティブ思考によって、アクションするということをはじめました。
福岡県の事業でクリエイター派遣による地域振興の現場で、はたらく機会を得た2013。
大きな転機となりました。
派遣されて体験したことを発信していく業務を委託して、実際に地域に移住しました。
便利なまちなかから、農村風景のど真ん中へ。
生活するようになっていざ感じたのは、田舎こそ豊かであること。
食べ物、自然、人、文化の中で、
あらゆることにおいて、まだまだ未熟な存在であるという実感。
地域でしごとをする、つくることの自分の無力さを感じたのもこの頃です。
自分で食べるものを、つくるという農業に興味がわいたのもこの頃です。
もがき、充実した日々を送りながら、地域の現状を変化させるためのスキルをまだまだ学ばなければならない。
そう思わせてくれたのも、田舎での経験でした。地域は豊かだけどそれ以上に近隣には空き家が増え、ひとがへる。
目の前で増え続ける社会課題。
そこで、空き家の活用について実践していかなくてはならないと感じたのです。
これまでにいくつかトライしていた都会的なシェアオフィス事業などは、やはり人口的に豊かな都市で実現可能なものであった。
まず空き家、空き物件を活用した事例を調べ、解決していく術を探すことにした。
そうすると、身近な福岡県内に全国有数の取り組みをはじめている場所があったのです。
いま、私が拠点とする北九州市でした。